*『モダンタイムス』伊坂幸太郎著

「モーニング」で連載された作品と言うだけあって抜群に出だしが面白い。帯の裏面も良い。「勇気はあるか?」「見て見ぬふりも勇気だ」。 
 主人公が突然襲われ、暴行(ペンチで爪を剥がす、指を切る)を受けそうになる。その時の暴漢のセリフが先の「勇気はあるか?」なのだ。暴行を受ける理由は、愛妻からの浮気容疑。ハンパない(可愛らしい奥さんなのだが)残虐性を持つ奥さんを持ちながら、実際に浮気をする主人公。
 たまたま登録した占い携帯メールで「〜〜した方が良いですよ、絶対」と配信された時に、その指示に従っていれば危機を回避できる・・・など興味を増す仕掛けがあちこちにばらまかれていて飽きさせない。
 なぜにある語句を「検索」すると、不幸がもたらされるのか? 一体そのある語句とは何のことか。次第に判明してくる超能力。主人公はその能力を持っているのか。使えるのか。
 近未来の危険性、国家と個人など終盤は難しい内容になる。加えて話の落としどころ、整合性などが危ういところもあり、読後のサッパリ感はイマイチ。だがそれはmetooが多少お馬鹿のせいなのかも知れない。
 なんかいつものような伊坂幸太郎ブシではなく、東北も出てくるが宮城を越えて岩手だったり、最後は北海道だったりするのも不思議な感じだ。さあ、次は『フィッシュ・ストーリー』かなぁ? 僕の孤独が魚だったら〜、っと。

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(上) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)

モダンタイムス(下) (講談社文庫)