*こういう風に楽しむのも、『リプリー』

 名作『太陽がいっぱい』のリメイクと公開当時言われていたので当然パス! を決め込んだ。去年だったか映画館で『太陽がいっぱい』を見なおしてみたら、急に『リプリー』が観たくなった。前情報はマット・デイモンが主演ってことだけ。好きな役者なんだけど。
 製作年はいつなのだろう。つい最近のように思ったがマット・デイモンが若い! 冒頭美しく上品な若い娘がでてきたかと思えばケイト・ブランシェット! まだ「エルフの女王」でもなく、「かつてのセレブ生活が忘れられないでもがく面倒臭い女性」でもない。ジュード・ロウは「A.I.」で、なんて美しい男性だと思ったがあの頃の輝きが蘇る。殺される富豪の坊ちゃん:ディッキーとしての演技は大変素晴らしい!本当にこういう人っているんだろうな、って思うよ。何か賞はとっていないのか? そしてとどめはゴージャスなグウィネス・パルトロー。「大いなる遺産」の頃のままだ。パーフェクト! いや、待てもう一人いた。フィリップ・シーモア・ホフマン! 『太陽がいっぱい』のリメイクなら、殺される富豪ディッキーの、ひと癖ある友人は誰? と気を揉んで観てたが、そのピースに彼を当てはめたか。しかし少し薹が立ってないか?製作当時おそらく30歳前後。 2年前に急死するとは・・・人生は残酷だ。「誰よりも狙われた男」の役柄は、本当に彼の適役だと思ったよ。冴えないけれど、いれば存在感ハンパなく、映画に厚みが出る。そんな人物だ。
 まぁそうそうたるメンバーが集結し、若かったあの頃に出会えるなんて! これこそが映画のマジック! 公開当時観ていたらそれほど感動しなかっただろう。ケイト・ブランシェットも(綺麗な人だなぁ)で、名前もろくに覚えず流していたかも知れないな。
 さて内容。時代や主要人物当たりの設定はリメイクなんだが、微妙にアレンジしている。(船上での殺人。サインのマネ。ボンボンのディッキーの友人でリプリーに疑いをかけるも、逆に殺され遺棄される)のもオリジナルと一緒。ではエンディングは・・・? やはりビーチで完全犯罪を一人かみしめて「太陽がいっぱい」と言うのか? 
 この作品を単独で楽しむのもありかな、って思うんだけれど、何しろオリジナルが『太陽がいっぱい』だ。ハードルが高い。オリジナルが良い!って言う人が多いに決まっている。個人的には、かの有名なニーノ・ロータの曲がかかってくれればこんなに嬉しいことはないのだが。あの頃のイタリア映画(もしかしてフランス映画か?)には、本当にマッチしていた(のか、日本人の琴線に触れるのか知らんけど)。