*『ひまわり』

 あの有名すぎる音楽、地平線まで続くひまわり、ほとんど知っているスト−リ−。なのに今まで観なかったのは、主演のソフィア・ロ−レンの顔が怖いからじゃないのか、とどこかで思っている。
 以前「午前十時の映画祭」で、『ドクトル・ジバコ』観た時も、似たような感じだったが、観て良かった・感動した。名作はやはり、映画館で観るべきだろう。
 あの当時の映画音楽って、皆どこかもの悲しくて、これもニ−ノ・ロ−タか!? と思ったがヘンリー・マンシーニ。この作品は伊ソ仏合作映画だが、彼はアメリカ人。すっごい国際協調。この物悲しさは絶対イタリアだ−と思っていたのに大ハズレ。ヘプバ−ン映画多数、ピンク・パンサ−なども作曲、って凄いぞ。
 この作品の良いのは戦争に勝ったソ連が良いとか悪いとか一切無く、いわゆるプロパガンダが無いこと。普通の市井の男女が戦争に翻弄され、引き裂かれていくさまを、おそらくその下には多くの死体が埋められているであろう、無限に続く向日葵畑を映し出して、多くを語らないことだ。
 ロシアまで出かけていって主人を探すイタリア女性ジョバンナに人々は優しい。アントニオと結婚して、子どもまでできて幸せにくらしているマ−シャと、ジョバンナの演技も素晴らしかったと思う。小さいときに何度もTV放映されてきたが、これだけはちっとも観てこなかったのは正解だったかも知れないな。