*『追憶』(映画版)


 映画で「追憶」と言えば、レッドフォードとバーバラ・ストライサンドだよなぁ。ちょっとタイトル付けるときに敷居が高いよなぁ。その高い敷居を、巨匠・降旗康男が監督、撮影に木村大作の二人が9年ぶりにタッグを組むんだから、否が応でも期待が高まる。
 だけれど最初に言ってしまうのは何だが、今風に展開を早くしているのに、思い出の喫茶店を壊すシーンがムダに長かったり、季節の花を長く写したりで、昭和の香りがしないでも無い。例えば、小説のプロローグ、新聞記事で喫茶店での殺人事件が紹介されている。そこは映画ではカットだ。まぁ映画化ではよくあることだ。舞台が北海道から富山。まぁそれもありかな。金を借りに往復飛行機で札幌、って経費が高い気がする。でも北海道の海岸沿いの寂寥感の方が良かったんだけれど。
 岡田准一小栗旬が死ぬわけ無いよなぁと思えば、柄本佑がやはり死ぬのか。事件から20数年経って運命が再び交差する、しかも関係者の運命は皆それぞれで苦悩を抱えている。そういうところは原作の勝利だと思うのだが、映画ではその辺をカットしちゃっているのが残念だ。もっと若い監督の抜擢でもよかったんじゃないかな。降旗康男だっただけに残念な気がする。


「追憶」予告