*『チヨ子』(宮部みゆき著)

 短編集。さらりと読める。そしてちょっとした感動も得られる。青少年よ、宮部みゆきは良いぞ。読みながら日本人特有の「じっとり」とした湿度を伴う日本の気候っぽい感覚を味わう。そこが宮部みゆきの特徴でもある。
 収録の短編「いしまくら」なんて怖い怖い。日本のあちらこちらに転がるおばけなどの民間伝承がちらりと出てくるのも彼女の特徴か。直木賞受賞の2000年前後の、割と珠玉のミステリーがつまっていて、ちょっと時間のある時や待ち時間に持ってこい。ああ、思えばこの頃から江戸時代あたりに宮部みゆきは思いを寄せていたのかも知れない。現代物の新作が読みたい。