*『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』


  正直に言うとこういうSFまじりのラブロマンスは食わず嫌い。福士蒼汰君はいい人(だけれど演技イマイチ)、小松菜奈は綺麗(だけれど表情に乏しい人)、そんな刷り込みがあった。正月休みが無ければ出合わなかった映画の一本だと思う。
 タイトルからどこかがSFだとは思ったがその設定や理由は事前知識無しで臨んだ。愛美(小松菜奈)が高寿(福士蒼汰)の一目惚れにやけにあっさりOKしちゃうとか、高寿の思う理想の女性とかってズルイよなぁ、なんて思いながら観ていたが、途中で二人の関係や設定が分かった瞬間、涙脆い愛美のワケが分かってそこから泣ける映画になっていった。それからはこの手の映画にありがちな矛盾なんかも見逃さないように観たけれど、この映画の括りの中では一番矛盾が少なかったんじゃ無いか。『ベンジャミン・バトン』よりも納得できたよ。
 何より矛盾を感じさせなかったのは小松菜奈の演技力によるもの。表情も豊かでこんな可愛らしい恋人がいたら、運命に抗いたいだろう。喪失感から鬱になるだろう。今までこういう映画での小松菜奈に出会えてなかったから、彼女の演技力に出会えてなかっただけなのかも知れない。菅田将暉がFall inLoveしたのも頷けた、やっと。
 洋画だとこういう良作は、時を経て映画館でまた出会えることがある。邦画でもいつか暗い映画館で没頭して観てみたいものだ。愛美目線で。エンドミュージックも、舞台となった叡電(本当に終電が深夜零時少し前にあるのかな?)がメタファーになっているのも、結構パーフェクトに近いと思う。三木孝浩監督、良かったぞ。