旅の読書3:『柚子の花咲く』

 これは良い話だった。歴史小説で、かつ女流作家、というのは宮部みゆきしか読んだことがなかったから購入したのはギャンブルだったんだけれど。こんなストーリー。
 1つ。田舎の学校で男女身分の別なく学ぶ遊び学んだ酸っぱい思い出。
 2つ。その塾の冴えない先生の隠された過去。
 3つ。先生の死、その捜査に入った親友の相次ぐ死。
 4つ。犯人は誰か。幼い時の恋心はどうなるのか。愛憎と妬み。無くなった書類の行方。タイトルの「柚子の花」とは?
 これらが良い具合にミックスされている。よくプロットが組まれていて老若男女誰が読んでもストンと落ちる作品だ。タイトルも良い。意味が分かれば、このタイトルを自分や子どもに当てはめたくもなる。
 真犯人が誰かが分かるところだけ、あまりに展開が早いけれど、それでも一読の価値はあると思う。とって置きたい作品だったが旅の荷物。読後は特急ライラックの網の中に・・・(清掃員にすぐ捨てられるんだろうな、きっと。持ち帰って読んでいてくれたら良いな)