*『千里眼 運命の暗示 完全版』松岡圭祐著

 旅の読書で『千里眼 ミドリの猿』を読んだら、物語の途中で終わってしまった。だから帰京して続編(『千里眼 運命の暗示 完全版』)早速買って読んでみた。主人公岬が拉致監禁され脳波には電気を流され、廃人手前。天井からぶら下げられた手錠をはめられ・・・ってところで終わっていた。
 後半、喋ることはおろか眼球も動かせない状態。そんな岬を手錠をかけたまま、「反日・アンチ岬」で異様な盛り上がりの中国ど真ん中までヘリで輸送。農具・小銃が周囲を囲む中、無事に岬は脱出できるのか? さらにいえば数時間後に起きることが予想される「日中戦争」を止めることはできるのか? そんな壮大(荒唐無稽)なお話。
 とにかくスケールがデカイ。もちろん、そりゃないっしょー! の連続。読みながらなぜか一昔前にヒットした『紺碧の艦隊』(荒巻義雄)を思い出した。そりゃー無い無い、なんだけれど、気付けば都合良くうまくいっている。そんな感じ。もちろん、出版後も訂正を繰り返し、完璧に近づけて(もう、いわゆる『サーガ』だねーこりゃあ)いる松岡圭祐氏のスゴさの方が上回っているんだよ。
 こりゃあ好きな人にはタマラン、って種類の小説だ。metoo的には、これでもういいかなぁ。