*『家族の肖像』ルキノ・ヴィスコンティ監督

   巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の名は流石に知っていて、18歳頃に『ルートビッヒ神々の黄昏』を観た。観て思ったのは(私にルキノ・ヴィスコンティ監督は、まだ早い)。
  今回ルキノ・ヴィスコンティ作品が折角リバイバル上映しているなら観ておこう、と思った。しかしバート・ランカスターと言えば、西部劇っていうイメージがあるけどなぁ。(「OK牧場の決斗」の印象が強いのかな。)
 さて、家族の肖像画に囲まれて暮らす老教授(バート・ランカスター)のお屋敷に、使わない上の階を無理矢理レンタルさせてくれと伯爵夫人がやってくる。再三断っても強引に住み込む夫人とその家族。(この夫人が室内でタバコ吸って、部屋の床に捨てて踏み潰すシーンは驚いた) そんなわけで穏やかだった老教授の周辺は急にさざ波立ち・・・
 物語の大部分は「ふざけんな、警察呼ぶぞ!」 と言いたくなるような公爵夫人の立ち振る舞い(その娘さんらも全裸でラリってたりする)。一方立場がそうさせるのか、はたまたそういう気質なのか常識的な態度をとり続ける老教授。奥さんを失ってから沈黙の世界に埋もれた老教授だが、彼らの出現によって、家族の存在が急に色を取り戻していく。
 まあ悪くない映画だが、最近の映画を見慣れていると展開も遅いし退屈さも感じる。私にはルキノ・ヴィスコンティ作品には、あと10年くらい必要なのかもしれない。いつか『山猫』観てみるか。