*『THE FIRST SLAM DUNK』

 アニメをこんなに映画館で観るようになるとは思わなかった。しかもどれみてもレベルが高くて、けっこう感動している。
 スラムダンクがジャンプに載っていたのって30年前じゃない? 前回書いた『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』よりも古いんだよ、信じられない。現行ルールとかどうするんだろうと思ったら往時のまま。24秒は30秒だし、8秒も10秒。制限区域は長方形ではなく台形。戦術もあの頃のまま。懐かしい。
 あの長い長い話のどこを映画化するのかと思ったらインターハイの山王工業。だが見始めると宮城リョータメインの話だ。主人公桜木花道はどうした!? 見続けて初めて気付く。桜木はじめ、流川も赤城も三井のみっちゃんもバックグラウンドは原作で描かれていた。リョータ君だけ知らない。クラブの姉ちゃんのようなアヤちゃんが好きなくらいだ。まさか沖縄出身だとは知らなかった。それでドリブルとかめっちゃ上手いのだなと勝手に納得。彼を今回主役に置くことで、多少コメディ路線もある本作を、いい感じのヒューマンドラマに仕上げている。
 山王工業戦をある程度メインに描くとそれだけで、1試合分約60分。センターのシュートブロックに行く手よりも高い位置からスラムダンクを決めるフォワードなんかは、はっきりいって現実感はないが、シャキール・オニールパトリック・ユーイング似の選手が出てくるのはご愛敬か。王者:山王工業で1年次からレギュラーを取っているのは、田臥勇太が見本、であっているのか。あの頃を知っていれば、余計に懐かしく泣けてくるんじゃないか。三井の指先までしっかり伸びたスリーが、綺麗な放物線を描きネットを揺らすシーンなどは、実写と見まがうほどのデキでそれだけで泣けてくる。
 1試合1試合に青春の命を燃やして、負ければ悔しくて涙を流した選手には必見だと思う。冬の本命『アバター・ウェイ・オブ・ウォーター』を抑えて6週連続興行成績1位獲得は伊達じゃない。


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