*『ベルファスト』

 良い映画らしいと噂に聞いたので楽しみにしていた。名前からするとヒーローアクション? しかし全く違った。次に『ニューシネマパラダイス』や『オリバーツイスト』を想像したがそれも違う。1970年代、「IRA」ものが盛んに映画化されたが(それも最後に見たのは『パトリオット・ゲーム』『デビル』が最後か?)、テロ物と言うより、今まで家族のように暮らしていた町が、「プロテスタント」と「カトリック」で、こんなに憎しみあえるの? という切ない話だった。
 監督のケネス・ブラナー自身の幼少期の体験を自伝的作品ということだから、主人公の少年バディなんだろうか。同じクラスの1番の秀才の女の子を好きになって、隣の席を目指す、っていうエピソードも良い。そんな女の子はカトリック。「大人になったら結婚できるかな?」子どもらしい質問に答えるお父さんの返事もなかなか。
 宗派対立もあるけれど、全体としてはほのぼのさせてくれる良作である。ちなみに造船の町を舞台にしている(タイタニックを造った造船所らしい)が、造船の話は全く出てこない。もしかして1960年代は日本が造船でイギリスを上回った頃なのかもしれない。