*『コーダ あいのうた』

 去年は映画祭の賞レースにかかわった作品。ゆえにアカデミー賞の頃になるとWOWOで放送してくれる。物語は聾唖の4人家族中、唯一の健常者(主人公ルビー)は小さい頃から家族の通訳を務める人生。しかし高校で気になる男の子が選んだ合唱授業に参加すると、歌の才を見いだされ、大学進学も視野に入り、家族と好きな歌とどちらを選ぶか選択を迫られる・・・
 観る前から(良い映画なんだろうなあ)。そして(どちらかを選ぶってコトはどちらを捨てることだよなあ)。そんな重く暗い話になるところを、聾唖家族の持ち前の明るさで陽気な映画に仕上がっている。
 例えば「性病」が移るから2~3週間性行為禁止っていわれても、「そんなにがまんできるわけなーい!」と激しく手話する父親(それを医師に通訳する女の子ルビー・・・そんなの通訳したくないなぁ)。好きな男の子が家に来たときは(家族は耳が聞こえないから、誰かが来たのが分からない)、両親が隣の部屋で激しいファック(あの声は出るんだなぁ)。
 う~む、外国は違う。それでは暗い話は無いかと言えば、聾唖者ゆえの貧しさ。漁師をしているが、取った魚は安く買い叩かれる。操業中、警備艇の停止命令にも(当然のことだが)魚の選別中で気付かない、それでは安全な操業ができないよね、と払える筈もない罰金。さあどうなる? 観ている人おそらく全員が、ルビーが幸せになるようにと祈っている。
 さて結末は? 寒い冬はハートウォーミングな映画を観るべき、という持論がある。是非寒い冬にこそこの一本を。