*そういう話だったのか『大統領の執事の涙』

 「〇〇の大統領」みたいな映画がここ数年あったので、てっきり執事と大統領の(身分差や肌の色の違いを超えた)友情物語かと思ったら全然違った(多少は歴代大統領との心の交流はある)。有色人種が人種差別と戦い、公民権をはじめとする基本的人権獲得の歴史を、「大統領の執事」という立場から眺めていく映画である。
 歴代大統領が出てきたり、時折その時代流行の音楽が流れたりするのは、名作『フォレスト・ガンプ』を彷彿とさせるも、歴代大統領はVFXではなく、例えばニクソンはジョン・キューザックが演じるのだが、はっきり言って似ていない(笑) 誰だろう、ロナルド・レーガンはそっくりだった。きっと白人にありがちな顔なんだろう(笑) 
 もう1つの大きな柱は親子の物語である。長男は黒人解放運動に加わり、当初はキング牧師に、後はブラックパンサーに属する。政治活動はタブーな大統領の執事を「白人に仕えるハウスニガー」としか見ていない。当然父子は仲違い。(お国のために・・・)とベトナム戦争に参加する弟は戦死。母親はアルコール中毒に・・・
 大変良く出来た話だ。実在した人物を元にしたドラマというのも、説得力がある。が、アメリカの歴史に詳しくない人には、ブラックパンサーって何? ってならないか? キング牧師は近年中学英語の教科書にも載っているから分かるのかも知れないが。
話は変わるがフォレスト・ウィテカー。特徴ある顔で、脇役を固めてきた人だが『バンテージ・ポイント』では面白い役を、『ラスト・キング・オブ・スコットランド』では怖い独裁者を演じていた。でも一番今気にいっているのは『ハスラー2』で、主人公のP・ニューマン&トム・クルーズに一杯喰わせる気の弱そうな黒人青年だ。見る機会があったら、彼に注目して欲しいな。