*湊かなえ、その3『少女』

夜桜

唐突だったが今夜は、東京で今春最後の夜桜日和だったので、職場でお花見だった。予報と違い寒い夜だったが楽しく飲めた。夜桜は大学以来かも知れないな。

少しこの人の(数人の登場人物が独白していく)スタイルにも慣れたかも知れない。いや、「あとがき」で「*の数に注目すれば」を読んでおけば、もっと混乱せずに読めたかも知れない。
 映画のように、幾つかの独立した話が1つに収斂していく話である。あとがきで誰かが書いていたが、(そんな偶然あるわけ無い)(だからこその小説の世界)なんだと。その収斂さが鮮やかであればあるほど、(落語家のように)扇子をピシャッと打つのである。
 ところが湊かなえの場合、そこに爽快さばかりでなく、なんかヌチャーとした気味の悪い後味を残していくことがある。それこそが彼女の真骨頂なんだが。
 現代の少女は、なるほどこういう思考回路なのかもしれないな。理解はしたくも無いが。だが文中の「ヨルの綱渡り」の部分は(もちろん書いたのは湊かなえだから)秀逸だ。そしてその作品を友人のために書き上げ、かつなぜに言葉でなく文章で思いを伝えたかったのかを(おっさんが伝える場面は)若い人なら特に、心を打たれることだろう。こういう友人を得たとしたら、それは人生の宝物だろう。
 タイトルは微妙だが、わりとラノベ感覚で読める1冊だろう。

少女 (双葉文庫)

少女 (双葉文庫)