*『最貧困女子』(鈴木大介著)

 先日『ヤンキー経済』を読んだが、その続きで『最貧困女子』(鈴木大介著)を読んだ。メインの内容は「セックスワークで日銭を稼ぐ最貧困女子の実態の紹介と、その解決の糸口の模索」だ。
 その中に北関東に住む「プア充」女子の話が一瞬出てくる。その辺は『ヤンキー経済』と同一視できる箇所もある。しかしメインはそこでは無い。メインは「3つの無縁(地縁・家族・制度)と、3つの障害(精神・発達・知的)のいずれかを抱えた女子」の話だ。
 ティーンで上記のような要素を抱えた女子とセックスの親和性について理論的に紹介している。事例を羅列する記事は週刊誌などでも見かけるのだが。本書では、さらに(かつてウリなどが主戦場だったメンヘル女子が、週一デリなどに駆逐されている)状況も描いている。そこには、容姿やコミュ力を武器に女子力を磨く週一デリが、何の努力もしないメンヘル女子を下に見る様子も描き、下層社会でも差別化がおこなわれている実態を描く。貧困では無く、「最貧困」つまり急を要する事態なのだと。しかもこの最貧困が子どもを持ち、貧困の再生産がおこなわれているのだ。どうなんだ日本、こんなんで先進国名乗ってオリンピックしている場合か?

最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)