*U・ボート

U・ボート ディレクターズ・カット [Blu-ray]

U・ボート ディレクターズ・カット [Blu-ray]

 「沈黙の艦隊」が流行った頃、「軍艦乗りでサブマリナーが一番能力が必要」と読んだことがある。海底でソナーから聞き取ったスクリュー音などから、敵艦の動きやその後の位置を読み取る力が必要だからだ。しかも戦艦や空母と違い三次元的な動きをする。第二次世界大戦後、ホーミング魚雷ができて戦術が一変してしまったが、「レッドオクトーバーを終え」や「クリムゾン・タイド」など数多あるが、どれも名作だと思う。
今や巨匠ウォルフガング・ペーターゼンが監督したのは、実話に基づく「ドイツの潜水艦U−96」が出航からジブラルタルを経て、同盟国イタリアに向かう話。「ネバーエンディング・ストーリー」のヒット後、ハリウッドに招かれ「ザ・シークレット・サービス」「アウトブレイク」なども有名な監督が、限られた密室の中で、独若者の「生」と「死」がよく描かれている。
 そして何よりも秀逸なのはそのラスト。二度のデストロイヤー(駆逐艦)の爆雷攻撃に耐え、寄港・歓迎・一時の安堵。そして一転不条理で唐突なラスト。敗戦国西ドイツが渾身の力で作り上げた力作である。