*「悪の教典」

悪の教典

もう昨年の話題作になるのかな? 原作でもバックグラウンドが曖昧だったが、金を出してみる映画にすると、頑張った所で129分では不足だろう。良い先生の仮面が少し剥がれる程度で、大量殺人に向かっていく背景が全く分からない。
 まぁ貴志祐介の場合、そんなことはどうでも良いのかも知れない。とにかく高校生と言うには無理のある老け顔の面々が、銃を突きつけられた瞬間から、ギャアギャア逃げたり命乞いをするばかり。校舎の3階にロープで犯人が登ってきたら、銃に当たらないよう上から机や椅子を落としません? そんな知恵も無い者はショットガンの餌食ですよ!
 監督が三池崇史だけのことはあり、バイオレンスシーンはリアルでその点は文句が無いだろう。主演の伊藤英明はいつもの爽やか青年で「サクセスで爽快!」とも言わず、悪役を演じきる。なかなか良い人選かも。
 万引きをネタにJKの身体を求めた剣道部顧問に罪を着せるために、突き落としたJKの黄色いパンティを剣道部顧問に投げつけるシーンがある。顧問は刺股にひっかかったパンティを手に取り、匂いを嗅いだ後、「〇〇のか?」と言うのだが、匂いで何が分かるの??? あまりにシュールで、そこはボケを投げ込んでくる三池崇史監督ならではのお茶めっぷりだと思った。