*「9月が永遠に続けば」(沼田まほかる)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

背表紙のあらすじに惹かれて読んだ。「高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。」
 それにしても変わった名前だ。「まほかる」じゃあ初めて読むか! と読後に調べれば「彼女がその名を知らない鳥たち」で出会っていた。この本は、序盤の「関西弁」で力尽きた。基本映画でも小説でもラストまで頑張るタチなんだけれど。
 さて本作。誰の視点で書かれているのか。母の佐知子のような、そばで捜査している三流探偵のようにも思えるし。不思議な文体だ。いろいろ不可思議なピースが転がっているので興味をひくものの、内容はエグい。とても女性が書いたように思えない。一方で佐知子と別れた夫・雄一郎の後妻・亜沙実のような魔性の女は確かにいるような実感がある(まだ人生であったことは無いけれど)。
 ずいぶんと不思議な話だった。もう一度「彼女がその名を知らない鳥たち」にチャレンジしてみようか、いややはり挫折するかな(笑)