*夏の日本海

日本海

 夏の日本海は、いつも凪いでいて穏やかな表情を見せる。夏の強い陽射しを煌めかせながら、走る海岸線。長い海岸線でも、ワインディングに時折見せるビーチも、エメラルドに輝いているのに、プライベートビーチのようにほんの数人が独占しているだけ。濁った人込みの湘南しかしらない都方人(みやこかたびと)には、信じられなくて、(ここで暮らしてみてもいいかも)と旅人を誘う。
 新潟からフェリーで小樽へ旅立ったあの日も、穏やかな海に粟島が浮いていた。遠く男鹿半島が(意外なほど背が高く)横たわっていた。もっと平らな半島と思っていた。
北陸本線から白新線羽越本線で旅したときも、海はいつも凪いでて、反対の車窓を眺めれば、たわわに稔る‘いなほ’が秋の豊作を知らせる。
 遠く萩の夕陽から東尋坊・そして能登半島、露天の不老不死温泉まで、この時期の日本海は好きだ。そう思うでしょ!?