*天使のナイフ

天使のナイフは薬丸岳、2005年に第51回江戸川乱歩賞を受賞した渾身の一作。

天使のナイフ (講談社文庫)

天使のナイフ (講談社文庫)

出だしは面白い。大宮あたりが出てくると、リアリティ感じるのは私だけ??? なんか生活感を感じるんだよな。未成年による主婦殺人事件。裁判は非公開。加害者の名前を知ることもなく、悔恨と怒りと苦悩の人生を送る主人公.....って、(あーそうゆう作品なのね)と考えていると、予想は見事に裏切られる。加害者3人のうち1人が殺される。その犯行時刻、主人公はたまたまアリバイがない。そして主犯格の2人目も殺される。(あーそうゆう作品なのか)と思っていると、予想は見事に裏切られる。
スタバをイメージした主人公がオーナーを務めるカフェに、主婦殺害事件の担当をした刑事、未成年を擁護した人権弁護士、殺された妻によく似たバイトの苦学生。その子に思いを寄せる年長のバイト君。本当にいそうな人ばかりが織りなす物語は、いい具合にこちらの期待を裏切る。
最後のどんでん返しは多少ご都合主義を感じない分けでもない。しかしこういう新人が出てきた嬉しさや次回作への期待を抱かせる。先日読んだ『99%の誘拐』の岡嶋二人らの技術に及ばないのは当然としても、楽しい時間を与えてくれた作者には感謝だな。