*真相(横山秀夫著)

乱読続く。横山秀夫の著書は漢字2文字が多い・・・? 短編なのだが、ふくらませていけば彼の力量なら長編にもできそうだ。表題作「真相」と「花輪の海」「他人の家」がいい。コンテンツに「リストラ」とか「インターネット」など、昔は出てこないものが出てくる。(ネット・・・!?いまさら???)と思わなくもないが、主人公が強盗傷害で出所してみたら「インターネットで簡単に検索できる」と、言った感じで出てくるので文句はない。
リストラの悲哀などは実際に経験して立ち直れない40代から切実に書けるようになってくるんじゃないかな。その悲哀で苦しむ男達が出てくる。或いは「花輪の海」に出てくるような、大学時代の体育会系部活でのシゴキ殺人を経験してひきずったまま苦しんでいる男達。こういう話も昔は普通にあった。実際に何人かが理不尽にその命を絶たれたが、いじめやシゴキの体質がなぜに無くならないのか憤慨したい。読んでいてそういう思いがフツフツと沸いてくる。
今回の作品は警官でもなく、そこらの市井の名も無き人達が主人公。でも考えてみれば男なら誰でも「寂しい鞄」の1つくらい抱えて生きているものである。そんなことも感じさせる秀逸な作品。どうぞ!

真相 (双葉文庫)

真相 (双葉文庫)