*『夜中の猫』

NEKO


 ナイトランニングは、周囲の目も気にならないし、コース中の家々の温もりや匂いが感じられて好きなのだ。下りのコースな為に帰り道では階段を駆け上る。そこも好きな理由の1つだ。
 最近その階段を登る頃に猫の鳴き声がする。甘えた声だ。この町には野良猫がいる。餌付けオバさんのせいだ。おかげで春と秋には、サカリの付いた声を延々と聞かされる羽目になる。が、基本奴ら野良猫は道行く人には無関心。だが、奴は違う。一発で甘えてくるのが分かる。どこだ? しばらく暗闇を探せば、水飲み場の隅や、四阿の柱の陰から顔を出す。おまえと遊ぶ気は全然ないし、頭を撫でてやるきもない。なのに、甘えてくる。
そういえば職場でも帰る時に仔猫を見つける。これがまたたまらなく可愛い。そう油断していると、先日は4倍に増えている。どういうことなんだ、一体?
 「ネコは9回生まれ変わる」と言う。それって猫から猫に生まれ変わるのだろうか。それとも前世が人とかあるのだろうか? 死んだ知り合いが尋ねてきているのだろうか・・・? だとしたらもう少し優しくしてあげるべき何だろうが。
 走る時間も帰る時間も微妙に違うのに、今日もまた猫の鳴き声が・・・。こっちが奴の可愛さに根負けして撫で撫でしたら、どうなるんだろう? 猫と自分の魂が入れ替わるとか・・・そんなことがなければ良いのだけれど。