*『生存者ゼロ』(安生正)

急に電車移動が決まった。駅前にブックオフがある町だったので、面白そうな本を探して本書に巡り会った。面白かった。同時に買った『ゼロの迎撃』は、今度の四国一周・鉄分補給の旅に連れて行くだろう(そして重さの関係から読後は、残念だけどサヨナラだ)。
とても建設会社勤務で、小説が二足のわらじとは思えない。もちろん、無骨なところや、ありきたりなところもある。が、それを補ってなおあまりある部分が大きい。物語は野付半島しかも冬、密閉された空間での従業員全員死亡(しかもエボラ出血熱のような無残な死に方)。間違いなく伝染病が発生するには不条理な状況。そしてこの事件は数ヶ月音沙汰なく収束したかに見えたが、標津で大規模発生。見る間に足寄・北見・紋別などで猛威をふるい10万以上の死者。諸外国は感染を恐れ貿易をシャットアウト。日本株は急落。民生党(民主党?)が一時的に政権を取っているが全くの無能。まるで3.11が起きた時の菅首相の慌てぶりをそのままなぞったよう。
 この伝染病の謎が解けるのが意外に早く2/3くらいで判明。その後は謎との対決がメインになる。その辺はもう少し引っ張ってもらっても良かったのに。続きが読みたくてたまらない、さすが「このミス」大賞! でした。

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)