*浜田省吾 詩人の鐘

metoo7s2011-02-21

1986年の「J.BOY」は現在の日本を予言したかのような唄で聴くたびにグッとなる。「頼りなく豊かなこの国」は1億総中流からバブルへの入り口の時期。そんな時期でさえ
「♫夕暮れ時 家路たどる人波 おれはネクタイほどき 時に理由もなく叫びたくなる 怒りに」 
「走り疲れ 家庭も仕事も投げ出し 逝った友人 そして おれは心の空白埋めようと 山のような仕事 抱え込んで 凌いでる....」 
本当に豊かな時代でさえそうだった。まさかこんな時代が来るとは思わなかった。評論家が「年収300万円時代」と叫んでもそんなのは一部のニートだと笑った。若者の失業者なんて欧米の話だと思ってた。金利がほとんど付かない時期は数年のできごとで、また5%超の時代は来ると思った。
だけど、不況やデフレやらで労働者を労働者とも思わぬひどい時代になってしまった。
浜田省吾にはそういう若い労働者の怒りを叫んでる。それこそロックだろう!?
彼の「MONEY」「J.BOY」「FATHER'S SON」そしてこの「詩人の鐘」収録の1990年発表のアルバム「誰がために鐘は鳴る」(アーネスト・ヘミングウェイの長編小説のタイトル...!)までの一連のアルバム製作は一貫したメッセージやストーリー性を感じる。さらにアルバムのテーマに沿って珠玉の名曲が入っているという心憎さだ。こういう手法を何年かにわたり維持できたハマショーには驚かざるを得ない。
「銀行と土地ブローカーに生涯を捧げるような 悪夢のようなこの国・・・やがて1999年」
まだノストラダムスの大予言が生きていた時代。うまく歌詞に散りばめている。...よく思う。あのバブルさえ無ければ? 日本式経営を貫いていれば? リストラや派遣など無い時代が続けば? 「銀行と土地ブローカーに生涯を捧げるような 悪夢のような」時代が無ければ、もっと今でも夢や希望を語れる国だったのでは無いだろうか?

誰がために鐘は鳴る

誰がために鐘は鳴る