*パンズラビリンス 

metoo7s2011-07-09

これは秀作なのでご覧の方も多いはず。出だしから幻想的。主人公の女の子オフェリアの前を気持ち悪い虫が出てきて誘いだすあたりで日本の女子ならキャァキャァ叫んでるだろうに。ちょっと宮崎駿アニメの実写化の匂いさえする。
舞台はファシズム体制に突入しつつあるフランコ独裁政権下のスペイン。さらに第2次世界大戦に突入。
まずは日本人の多くはスペイン内戦に疎い。ヒトラーは分かる。ピカソのゲルニアも分かる。でもゲルニカがスペインの町だとか、ヒトラーフランコ政権に援助してたとかあまり知らない。
監督はメキシコ出身のギレルモ・デル・トロ。内戦で父を亡くし、再婚相手は独裁政権軍で大尉を務めるヴィダル。すでに母親のお腹には新しい命に夢中...で放って置かれる少女。絶望的な現実から逃れるように、彼女は自分は地底の王国の姫だったと....想うようになる。そして地底の王国の姫として再び戻るための試練に挑戦していく....こういう少女時代にありがちな幻想を上手く描いている。時代が絶望であるが故に、より大きな幻想を描いていく。同時にファシズムに抵抗するレジスタンス(スペインだと人民統一戦線?)も登場。革命軍はうまくいくのか? 彼女は地底の王国の姫になるためのミッションは成功するのか? そもそもこれは現実なのか? 所詮夢の世界なのか? 
様々な謎が観客に問いかける。観客の数だけ答えがある映画なのかも知れない。
ちなみに切り株から花が咲いて終わるラストシーン、これはキリスト教における『ダビデのひこばえ』のエピソードがモチーフなんだそうです(よくわかりませんね藁)。
良い映画です。ただもう1っ回観るのは、結構「よっこいしょ!」って覚悟が必要です。

パンズ・ラビリンス DVD-BOX

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