一緒に暮らしたつつましいアパートの前を通る
貧しかったあの頃なのに楽しい思い出ばかりが心のスクリーンに映し出される
「どこでボタンを掛け違えたの?」
もしもやり直せるなら、もしもあの日に戻れるのなら
今とは違った結果になっていたかもと、詮無きことを考える
一緒に暮らしていた頃には無かったマンションが建ち
給料日には買って帰ったケーキ屋も違うお店に変わってしまった
若い頃と違って長い長い恋の行方は、漂い流れ着く先を知らない
やけに明るいハーフムーンが東南の夜空から見つめる
今日は霜月にして夏日のような、そんな1日
「夕日が線路に向かって沈む頃 疲れた足取り 急がせていたのは
君の暖かな言葉を知っていたからだろう
許し合えた 心が崩れた部屋に 残されていたのは 小さな合い鍵ひとつ.....」
(あとがき written by 大久保一久)
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