*「緋色の記憶」トマス・H・クック著

緋色の記憶 (文春文庫)

緋色の記憶 (文春文庫)

昨年「心の砕ける音」を読んで、面白いな、って感覚だったので2作目に行ってみた。何しろ東野圭吾でも取れなかったMWA最優秀長編受賞作だ。
「心の砕ける音」同様舞台は大恐慌前。場所は東海岸ボストン周辺。なぜにこの時代にこだわるのだろうか? 少なくとも大恐慌中だと混乱と貧困で落ち着いた展開にはならないだろうけど。日本だと昭和初期。昭和金融恐慌だろうから、日本でこういう作品は書けないな。それはさておき
 この人文章は書けるって思うよ。描写力もいい。ただ事件までが長い長い。そして事件が報道通りなら「捻り」がないのだから、絶対何かしらの「捻り」が待っているのだろう、それは何!? って感じで読み続ける。
本当に最後にドドドン!って感じで事件と、「捻り」がやってくるよ。それを「鮮やか」と観るか「あざとい」とみるかは、読者の自由。
語り部が事件当時10歳の少年が老境にさしかかった頃に回想することで物語は始まる。その設定も又、興味深い。
このシリーズは(多分シリーズじゃ無いのだけれど)、「死の記憶」「夜の記憶」と続く。次もまた、1927年なのかなぁー・・・