*痛いイタイ・・・「ヤング≒アダルト」

シャーリーズ・セロン

ヤング≒アダルト スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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 監督・脚本が『JUNO/ジュノ』のジェイソン・ライトマンディアブロ・コディのコンビ。この2人が描く、だからラブコメとも言えず、笑いもあるんだけれど見ていてイタイイタイ。
 これもwowow のW座で観たんだけれど、小山さん&安西さんの2人の会話がすごく良くて、この映画を観るのならこれもセットで観なくちゃ! って思えるほどです。
 主人公オスカー女優シャーリーズ・セロンは37歳バツイチでミネアポリスヤングアダルト向きの小説を書く、元高校大学一番のヒロイン。誰からも憧れの的(だった)。そんな彼女の元に、元彼から子どもの誕生カードが届くと、それを彼女は「自分への復縁を求めている」と勝手に勘違いして、捨てたはずの田舎に乗り込む。さらに周囲にはそれとなく、元彼と上手くいくために戻ってきたと話してひんしゅく買いまくる(なのにそれに気づかない)。
 イタイと感じていないのは彼女だけ。高校の同級生は「嫌な女が戻ってきた。今さら何様のつもり?」と冷たい視線を送る・・・
 演出(ディテール)がとにかく素晴らしい。田舎に戻るときに車で聞くのは彼との思い出の曲(ただし、それがカセットテープ!)。聞き終わると、再び巻き戻す(おそらく彼女はどのくらい巻き戻すと曲の頭になるかを覚えている)。田舎町を歩いているところを母親に発見され、自宅に連れて行かれ自分の部屋に入れば家を出たままの状態・・・・そこには元カレからもらったパーカーがかけてあり、棚にはCDに混じってカセットテープも置いてあるなど、
 「栄光の過去にとらわれ、そこから大人になりきれない女性」
を見事に表現している。もういい歳しているのに、TシャツはHello Kitty・・・!そして彼女の書く小説の主人公の女の子は、つまりは自分自身・・・
 安西水丸さんが「こういう女性って私は苦手で」と言っていた。つまりは身の回りにいるってことだよね(笑) ちなみに「女性編集者に多くいますよねー」とは、小山さんの言葉。その詩人の小山さんの詩がよかったよ。その詩は水丸さんのイラスト(映画の一部分)にかぶって読まれるんだけれど、見終わってもう一度観直すと、さらに心に響きました。イラストと共に読まれる詩(うた)は、秀逸です。

 成長しないのは変われないから
 変われないのは自分を見つめないから
 自分を見つめないのは自信が無いから
 自信が無いのは信じるものがないから
 信じるものがないのは愛する人がいないから

 愛さえあれば 
 愛さえあれば
 人は上手に成長できる