司馬遼太郎の幕末維新?: 『世に棲む日日』『峠』『花神』の世界 (朝日文庫)
- 作者: 週刊朝日編集部
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/03/07
- メディア: 文庫
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山岡荘八の「高杉晋作」を読んでいたが、そこは国民作家:司馬遼太郎も読んでおくべきだろうと「世に棲む日々」全4巻を読み切った。司馬遼太郎は読みやすいのだが、彼の司馬節とでもいうべきか、例えばリフレインの多用など、司馬好きな自分でも多少辟易するので、苦手な人には(またかよ)と思うかも知れない。しかし、精密だ。山岡荘八と甲乙つけるべきもないが、吉田松陰刑死から遺体を引き受けるところなどはずいぶんと違う。死に方も違う。辞世の句「面白き こともなき世を 面白く」は当然両者とも詠んでいるのだが、詠んでいる状況はずいぶん違う。
この本は吉田松陰から始まり、高杉晋作の死で終わるのだが、両者の周囲のに人間関係やその後も語っていて、相変わらずよく調査して書いているなという印象だ。印象と言えば、山県有朋については幾度も色んな本で軽蔑しているが、今回が長州モノであるため、それがいよいよ濃い。木戸孝允も良く書いている本を見ないのだが、今回は名前は何回か出てくるのだが人物として登場せず、当然一言も発していない。明治の3傑なのに。本当にそれで良いのか?
高杉晋作という人物のすごさと偉さがこれほど分かる本も無い。高校生の夏休みの課題図書に、なぜにこういう本を薦めないのか? 新成人の諸君、もう読んでいるか? 未だなら読もう! 教養は自分の財産だ。