以前『永遠の出口』や『つきのふね』を読んで感想を書いたが、さすが女性が書いただけあって、思春期の少女の心情(それも細かいヒダヒダのとこ)をよく描写できると尊敬してしまう。
瀬尾まいこのように読後、心がホカホカ温まるのは同じだけれど、本作の主人公・陽子のように、クラスの主流で周囲と仲良くやっているようで、実はただ周囲とゴタゴタを起こさないように只流されている連中とは一線を画している少女を描かせたら、そこは森絵都だ。
例えばその少女は自分の主義主張を曲げてまで周囲に合わせる気持ちなんてさらさら無い。そういう少女は日本だと、「ちょっと変わってる子」か、逆に「強そうな子」に見えて、「あたしあの子とは親友じゃ無いけれど、普通に話せるよ」って感じになることが多い。そういう子は必ずクラスに何人かは必ずいるから、読んでみるといい。もちろん男子でもそういう子がいるだろう。できれば本作の主人公・陽子とリンの頃のような中1中2の頃に読んでみるといい。大人になって読んで共鳴するのとはまた違う感想を抱くだろう。「第42回産経児童出版文化賞」などを受賞している。もちろん、自分のように大人になって読んでも、さわやかな感動の1作なんですが。
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 文庫
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