*スクリーンで泣けるシーンを思い出すと

 『きっと、星のせいじゃない。』を観た。ちらし画像が報せる映画情報だけから勝手に判断して、『ジュリエットからの手紙』のような、ラブロマンスだと思っていた。いや、そうじゃなくて泣けるラブ・ストーリーだった。
 大事な人が亡くなった時に泣ける映画を唐突に思い出してみると、1番2番は『今を生きる』、そして意外だろうか『フォレスト・ガンプ』。前者は死んだ翌日、イギリス郊外ならではの丘陵と牧草地。それも晴天でも土砂降りでも無く、雨は無いけれどウエッティな雰囲気。その光景だけで悲しさを表現した監督にただ拍手。後者は、永年の愛が実ったと思えた静かなシーンの後にいきなり「ジェニーは終末に死んだ」みたいに、観ているこちらも唐突に死を受け入れざるを得ない設定。涙の準備もできていない。
 病気で死ぬのは確実、って映画は古くは『ある愛の詩』なんかあったけれど、ゴメン、全然泣けなかった。この映画は良く出来ていて、
1主人公二人が超美男美女でも無く、むしろ鼻に酸素吸入器をつけながらで、リアリティがあった。
2大好きな作家にあいにわざわざオランダくんだりまで出かけてみれば、どうしょうもないクソッタレで、
3だけれどそれらがラストに向かってイイ感じでまとまっていくところ。たとえば「ずっと」「ずっと」や、「OK?」「OK」みたいなキーフレーズがイイ感じでアクセントを添えている。
 泣きたい気持ちは無いのだけれど、唐突に泣ける気持ちにさせてくれる映画だ。何も知らされずに、ふと誘われて一緒に観たら泣けてしょうが無い、そんな映画。おすすめ。だけれどなぜR12なのかは知らない。変なの。
いまを生きる [DVD]

いまを生きる [DVD]

ジュリエットからの手紙 [DVD]

ジュリエットからの手紙 [DVD]