*『京都ぎらい』(井上章一著)

 metooは京都好きである。1〜2年、いや2〜3年なら住んでみたい町だ。週末ごとの寺社廻りも、ハイキングも楽しそうだ。奈良や大阪、日本海に近いのも嬉しい。だが、永住するとなるとどうなんだろうか・・・?
 京都を歩くと思いの外、外車に出くわす。飲食店も高級なものが多いが、それでも潤沢に金が廻っているフシがある。例えば、先日清水寺のナイトライトアップの帰りに、円山公園方面を歩いたが、会員制のような高級料亭(なのか御茶屋なのか知らんが)が建ち並び、そこに高級外車が専属運転手付きで何台も待機していた。
 TVではやたら吉本芸人が大阪弁を話すもので、京都弁が分かりにくい。京都より西は全て「ほな」とか「あかん」とか言ってそうだ。本著で、
「そやかて、山科なんかいったら、東山が西の方に見えてしまうやないの」
 と字面が続けば、なるほど大阪弁とは「えらい違いまんなぁ」。
 著書の井上氏は「嵯峨育ちの宇治在住」。東京モンからすっと、えっらく羨ましいですわ。嵯峨ですよ? 嵐山見放題! 三尾も行き放題! けれど京都洛中組からは、白い目で見られているという・・・
 本著は、しかし「話題性」で(売らんかな)の思惑見え隠れ。さらにリフレインが多いので、正直ダレる。面白い逸話なら逸話ばかりで、笑わせてほしい。でもさすがに京都の悪口ばかりを書くわけにもいかないのだろう。
 ちなみに「寺院」の話などは初耳も多く、タメになる。江戸三代までで今の大伽藍や三門はできあがったなどとは、夢にも思わなかった。中盤から急にアカデミックな自説を述べ始める。まぁそれはそれでタメにはなりますよ。

京都ぎらい (朝日新書)

京都ぎらい (朝日新書)