*友達の葬式:予報に反して曇り空

焼香を待つ長い行列の、川向こうで森が風に唸ってる
日の長い今頃で薄い雲から陽が射し込めば、夕暮れは永遠に思えるけれど
「オーム」が出てきそうな森は、人の侵入を強固に拒む
なるほど、内部は恐ろしい程暗い
昆虫取りに来た子どもを永遠に閉じこめる暗さを森は持っている
ごぉごおと、風に森は唸りをあげる
死んだ魂は空に登るのではなく、森に閉じこもるのかもしれない
その魂を守る役割がおそらく熊なのだろう
サンクチュアリを汚された怒りに、熊が人を襲うのだろう

今年は先に逝くはずだったのが、こうして生き続け、友が死ぬ
世は不条理にできている

今日も森はごぉごおと、枝を鳴らし葉をまき散らす
誰のために せめて友のためにと、祈らずにはいられない
友よ、おやすみ

風の谷のナウシカ 豪華装幀本(上巻)

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