*福山雅治『そして父になる』

第66回カンヌ映画祭審査員特別賞受賞のシーンで、福山雅治らが受賞したシーンが記憶に新しい。監督は『誰も知らない』の是枝裕和。この二作を観ると、子どもをテーマにした心動かされる良作を作っている。
 子ども取り違えまでの展開を早くすることで、その後の親子の情愛・葛藤を長く描いた。群馬に向かうときの高圧電線のシーンが印象的だ。画面ではどちらが東京か分からないけれど、車が先ほどと逆方向に行けば、帰京するのだな、と理解できる。ラストでもう一度この高圧電線のシーンが出る。長めのカット。つながる電線が親と子、心と心を結ぶものとのメッセージに見えてくる。
 この後の展開を予感させて物語は終わる。あの福山雅治が、父親役かぁと秋風の中感慨深く観させていただいた。今後のこの監督の作品にも期待したい。
そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)