＊ランズデール『ダークライン』

ダークライン (ハヤカワ・ミステリ文庫)

　「このミス海外編第6位」　なぜか自分が読む海外ミステリーの設定は50年くらい前の話だ。別に私自身がその時代を狙って読んでいるわけでも無いのに。作家には書きやすいのかな？　ＤＮＡ捜査も無い時代で、死体が出てもお宮入りしてしまうことが多かったからだろうか。
　舞台はテキサス。公民権運動前なのでそれはそれはすさまじい人種差別が存在し、その一方で人種差別に嫌悪感を覚える白人も存在する･･･そんな時代。
　事件発見までの設定は面白い。引っ越した先での庭の延長にかつて存在した豪邸(今は焼け跡)。その地面に埋められていたトランクケース。中にはラブレターと思われる書面。イニシャルはＪとＭ。その日の新聞で調べていけば、その日はたまたま２つの若い女性の死体。１つは豪邸で縛られて焼け死んだ豪邸の妹。もう一人は線路で首を切断された貧しい家庭の少女。このつながりは？　手紙のＭとＪとはこの二人に関係するのか？　中でも「妊娠」の可能性と「育てていきたい」との思いが綴ってあり、これが殺人事件と関連するのか･･･。
　主人公は子どもを終え、大人への扉を開けるか開けないかの時期の13歳の少年だ。彼を取り巻く温かな家庭（with 犬のナブ）、使用人の黒人映写技師、夫の暴力に耐える使用人の黒人女性、数少ない友人ながら極貧の白人少年らに囲まれて少年が思春期をくぐり抜けて成長していく物語でもある。まるで映画「スタンド･バイ･ミー」でも観ているような、そんな既視感を感じさせるティストに仕上がっている。
　通勤で時間が山ほどある。なら、携帯ゲームで時間など潰さないで読書しようぜ。読後感の、人それぞれの感慨を、持とうぜ！