*小説は意外にも『フィッシュ・ストーリー』(伊坂幸太郎)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

 何も考えずに最初から「動物園のエンジン」を読み始める。いったいいつあの誤訳訳者はでてくるのか? いつシージャックが起きるというのか? ロッカーは出てこないし・・・
 そりゃあそうだ。この本は短編集で、4つの短編の中の1つが「フィッシュ・ストーリー」なのだ。そのことに気付いたが、とりま「動物園のエンジン」を読み終える。そして1個飛ばして「フィッシュ・ストーリー」を読み始め・・・あっという間に終わる。出版社が雇った訳者が、実は英語が苦手で、「ほら」という意味の「フィッシュ・ストーリー」を、そのまま「魚物語」にしてしまったところから、おかしな・意外な展開になっていく・・・その辺の話は映画化の際に、脚本家が書き足したことに気付く。隕石衝突による地球消滅の危機も起こらない。それでも「風が吹けば桶屋が儲かる」的な流れは大切にしながら、きちんと2時間の映画にしている。
 映画では高良健吾のボーカルが印象深い。変な歌詞なんだが、ロックシンガーの斉藤和義が担当しただけあって、中古レコード屋で本当に存在しそうで、ジャケットを探してしまいそうになる。そういう感覚が、この作品が好きな理由なんだと思う。
フィッシュストーリー [DVD]

フィッシュストーリー [DVD]