*『博士と彼女のセオリー』

スティーヴン・ホーキング博士はあまりに有名なので名前くらいは知っていた。車椅子の物理学者? それもどこかで聞いたことがあるような気がする。観る気になったのはエディ・レッドメインアカデミー賞主演男優賞取ったから。そうでもなければ多分見てないんじゃ無いかなぁ。
 物理学の話はあまり出てこない。それよりもALSと診断され、余命2年半と知った後で結婚を決意した妻ジェーンの決意や献身ぶりがすごい。まぁスゴイと言えば、どうみても本物のALSでしょ? って思えるエディ・レッドメインの演技が(大絶賛されて分かるように)スゴイ。
 いや物語を語ろう。妻ジェーンの献身はスゴイのだけれど子ども二人(生殖機能には問題なし)では生活が破綻するのは火を見るより明らかで、聖歌隊で知り合った男やもめのジョナサンに手伝ってもらい、奇妙な三角関係の生活になる(でもこの時点ではきっと関係は持ってないんだろう・・・と推測・・・違うのかな?)。三人目の子どもも産まれる。(今度は誰の子ども?)の邪推も当然で、その言葉を聞いたジョナサンは身を引き去って行く。
 その後オペラ会場で肺炎で倒れたスティーブンは、「死か言葉を失うか」の二択になり、(死を勧める医師)に妻ジェーンは「言葉を失う」道を選ぶ。よくまたこんな苦しい状態に自分を追い込むなぁと唖然なのだ。しゃべれなくなった夫に、看護師エレインを雇う。ジョナサンといい、このエレインと言い、ボランティアがしっかりしているんだな、すごいぞイギリス!(それともケンブリッジ大学が費用を支払っているのかな。生活が苦しいとか映画では一切出てこない) しかしエレインが美人。もしかして・・・と思えば、『ホーキング、宇宙を語る : ビッグバンからブラックホール』バカ売れ後のアメリカでの授賞式に「エレインを連れていく」と、言い出したことで二人の結婚生活はついに破綻。あんなに献身的なジェーンを捨てていいのか?大物理学者???
映画では「エレインを連れていく」と言い出す際の、言いにくそうな、しかし悪意をどこかに隠している表情が〜ALS患者で表情が少なくなってたとしてもやはり隠しきれない〜上手い。嫌な顔していて、だけど本当に上手い。スゴイ演技力。
 その後、ジェーンはジョナサンと結婚して幸せになるんだけれど。ホーキング博士エリザベス女王に招待されるんだが、その際には別れたジェーンを伴うんだよね。受賞後、広い庭園で戯れる三人の子ども達と共に、二人の出会いから別れまでが走馬燈のように描かれる。この映画は、「愛」の映画なんだ。たまたま天才で、ALS患者なんだけれど。奇妙な三角関係、その後の四角関係の。