*『ハドソン川の奇跡』

ヒューマンドラマを描かせたらハズレの無いクリント・イーストウッドが監督。アカデミー主演男優賞2度のトム・ハンクスが組めば、そりゃあ間違いないだろう。でもさぁ、日本でも有名になったハドソン川着水のどこを描いたら、ヒューマンドラマになるのさ? 単なるドキュメンタリーじゃない?
 そう思って「ケン」を決め込んでいたが、観てみれば「お前、派手に川に着水しなくても、近くの空港に戻れたんじゃ無い? 1機数百億の機体を川に破棄してどう責任取るの? コンピューターのシミュレートでは空港に引き返すの可能なんだよ!」と責められ、場合によっては退職金も名誉も剥奪・・・そんなアンタ、あんまりでっせ。そんな舞台裏が事故安全調査委員会であったなんて・・・!
 で、実際どうなのよ? 機長のフラッシュバックシーンでは何度も何度もビル街に激突するシーンが出てきたり、微妙に回想シーンを端折っていたり。リアルなんだかイマジンの世界なのか、観客のミスリードも誘っている。この映画のクライマックスは最後の約20分。ここからは異様に面白い! そこだけ繰り返し計三回観た(笑)
 副機長を演じたアーロン・エッカートは、個人的には『バットマンシリーズ』のツーフェイスが印象的。あの割れたアゴをみていると落ち着きます。『天使と悪魔』(2009)では老けた感じのトム・ハンクスに、もう終わったんじゃ無いかって思いがあった。が、あの頃の中途半端な老け具合から脱却して、演技のやたら上手な老人役が出てきたなって感じで脱帽。『フォレスト・ガンプ』の頃のトム・ハンクスに、できることならもう一度会いたいなぁ。