*『高校・大学時代の友人に会う』

   コロナ禍で人恋しい。自粛生活を耐えていたが久しぶりに連絡もらって会うことにした。場所は東京から西に行った特快の止まる駅。そして昼間。これなら多少リスク回避じゃないか?なんて自分に言い訳して。
 大学時代の友人とは卒業以来だ。はるばる名古屋からやってくるというので、同期はもちろん先輩後輩まで集まった。まだ独身で話し方もファッションも変わらず。三つ子の魂百まで、だ。
 お互いつまらぬことを覚えていて、彼がケンカしかけてきたことがあって覚えているかと訊くから、「最初に鞄ぶつけてきたよな」と返す。話の隅々に「ぶん殴ってやるわ!」とポンポン出てくる。友達に大した理由も無く真剣にケンカふっかけてくる、こいつなんナン?
 そんな奴なのに、いやそんな奴だからか皆から愛されていて、幸せな奴だなって思う。そういう神様から愛されている奴っているよな。
 都内に行く金を惜しんで後輩から定期券借りて、友人とぐでんぐでんに飲んで酔っ払い、帰りの電車内で気づいたときには定期入れた財布落として。なんとか自販機の釣り銭から10円拾って、先輩に電話して、タクシー拾って先輩払いの着払いで深夜に何とか帰宅できた。そんな話など聞かせてもらったが、それでも愛される人って、いるもんだよ。
 自分はぐでんぐでんに酔えないし、酔ったことが無いし。何にも取り柄が無いから、せめて良い人でいよう、そう思って生きてていても、何かの拍子で恨まれたり憎まれたりすることってないか。
 高校・大学時代の友人と出会うと、「あの頃」に戻って話ができていいよ。楽しかったよ。コロナに感染してませんように。