*これは良い!「 世界にひとつのプレイブック」

 原題は「SILVER LININGS PLAYBOOK」。英語のことわざに「Every cloud has a silver lining」がある。直訳すると「すべての雲には銀の裏地がある」。言い換えれば『どんな困難な状況でも必ず希望の光はある』つまり「Silver Linings Playbook」とは「再起への指南書」という意味のようだ。
 ちなみにplaybookというのはアメフトの戦術とかを書いた本(つまり指南書)のことらしい(WOWOWのW座の解説より)。
 この映画の解説粗筋がいただけない。「妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパットは、近くに住んでいるティファニーと出会う。その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。」(以上yahoo映画より)
 なんだ、ダメ人間がダンスで蘇る(しかもその女性と恋に落ちるであろう)映画なのか。観る気がしないなぁ。そう自分ばかりで無くて、誰もが思わない? でもそういう映画じゃ無い。観れば感動する。バックボーンが完璧アメリカなので、多少日本人に違和感があるかもしれないが。
オスカー主演男優賞ノミネートは、先日紹介した「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」に出演していたブラッドリー・クーパー。妻の浮気で躁鬱病になった(ちょっと難しめの)演技をうまくこなしている。警官のダンナを事故で亡くしたティファニーを演じたジェニファー・ローレンスが本作でアカデミー賞主演女優賞を獲得。今、全米で一番注目の女優らしい。のっけの出会いのシーン、(いけてる女だなぁ)と思うし、ダンナ事故死直後の混乱でセックス依存症になったのを告白するシーンでは(尻軽な女だなぁ)と、自然映像にそう見えるから不思議なもの。それだけ演技力があるのかなぁ。
 アメリカらしいのは、カウンセラーさえもアメフトの地元・イーグルスの熱烈なファンだったり、父親ときたらレストラン開業資金全てを対ジャイアンツ戦に全額賭けるシーンがあったり、ファン同士が「敵QBマニングをどう封じるか」話し合うシーンがあったり。しかし当時のジャイアンツはスーパーボウル進出の強さを誇っており、しっかり負けて全額すっちゃうとこは妙にリアリティがある(笑) 
 また、父親を演じたデ・ニーロもリモコンをいつもきちんと揃えないと気が済まなかったり、妙なくせがあったり、何らかの精神障害の遺伝があることをさりげに演出していたりで、ツボにはまる人には本当に面白い! 話題の割にあまり多くの人が観ないと思うので、あえてお薦めの1本!と言っておきましょう。