*道尾秀介『片眼の猿』

トマス・H・クックの『夏草の記憶』の読後感が切なくて、ググってみれば、道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』が同じテイストだと知り、この本を探していた。が、生憎の欠品で隣にあった『片眼の猿』を読んでみた。
 途中どうしようも無く、ラノベのような軽さが耐えられない場面があったが、そもそも氏の小説としては異質のテイストだという。ミスリードにもよるが、ずいぶんと騙されてはいた。騙されて爽快感を感じる物と、嫌らしさを感じる物に二分されるが、本書はどちらでも無いのは、どうしてだろう?
 但し、さすが21世紀だけあって、異色な物を差別したがる者たちが多い中で、差別された側の立場への思いやりを感じるイイ感じの作品になっている。読書が足りないようでいながら、難しい作品は避けたいような時には良いのかも。例えば、学校の朝読書、2週間で読むには適量じゃ無いだろうか。そんな意味で中高校生くらいにすすめてみたい。

片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)

片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)