*『地図帳の深読み 鉄道編』今尾恵介著

   前回に引き続き、今尾恵介の本を。中高校の地理の時間に大変お世話になった帝国書院。地図帳はつまんない、と思うか、面白い、と思うか。自分は後者で地図や時刻表眺めて楽しめるガキンチョだった。
 
 「地図では上が北」・・・東西南北の概念を初めて知った保育園の頃、家の北側眺めて、「この方向に歩いて行けばいつか北海道にたどり着くんだ・・・!」と知った時の感動は今でも忘れられない。(北極にたどり着くとは思わなかったのはそこまで知識が無かったからかも)

 いつだったか、たまたま帝国書院の社員と知り合って「ブラタモリ見ていてどうですか?」「我々も入れないような所に潜入できて、正直羨ましいですね」なんて会話した。10数年前だろうか。

 帝国書院の地図はパッと開いたときに、(あぁ帝国書院だなぁ)って感じる特徴が有る。そこは一般生徒向けだ、鉄ちゃん向けに出しているわけではない。特産物のリンゴがあったり、海にはホタテやカキだってある。土地利用だってある。そのため、鉄の立場からすると鉄道路線が分かりにくい。

 この本を手にする人は、ある程度の鉄知識がある人だろうから、もっと既出でない話メインでも良かったんじゃ無いか。
 「中央線が真っ直ぐ(日本の鉄道で2番目の直線路線)」なのはなぜ? この答えは実は都市伝説だった、というのは初めて知った。
  「東海道新幹線岐阜羽島駅を作ったのは政治家の我田引鉄」というのも100%真実ではない、らしい。当時の総合的判断で岐阜羽島米原を通したって話だが、あの豪雪地帯を走るのだから、名古屋~京都別ルートが良かったのでは無いか。

 外国の鉄道にも触れているが、日本だけを深掘りしてほしかったとも思う。鉄道関係の本はあまた出ているが、これほど帝国書院臭のする本は珍しかった。これが気に入るかどうかは、人それぞれだと思う。懐かしさはあったな。