*『山を極めた学生じゃ無いんだよ!』

燕山荘から次の大天井ヒュッテまで3時間45分。そこからヒュッテ西岳がさらに2時間50分。朝出立した同部屋の学生さんもそこに泊まるという。しか−し! 我々の目指すヒュッテ大槍は、さらに難関東鎌尾根を含む3時間10分だ。理論上は10時間あれば辿り着くという・・・
 朝食は4:15の回に並んだ。食べ終わる頃、雲海の合間から朝日が昇ってくる。


同室の学生さんはもうスタ−トしている。もしも昨晩のような夕立があったり、雷がおきたらイチコロだ。


 このコ−スは、上高地組と違い槍ヶ岳をほぼ眺めながら歩く素敵なコ−スだ。しかし、思う。これって立川当たりから眺める奥多摩の山並みだぜ? 歩けるかよ? そもそも尾根が続いているように思えない。一体どうなっているんだ!?(地図上の矢印あたりにヒュッテ大槍はある・・・らしい)



 序盤は急がなきゃ、とか思っているのに、槍の景色に何度もシャッター切ったり、高山植物を愛でたり、と楽しいアクセントがある。
 どでかい大天井岳を巻いて大天井ヒュッテで一休み。同室の学生さんにも追いつく。ここで宿泊するんじゃ勿体ないが、それでも結構疲れている(ヒュッテ大槍で同泊の方達は、ここで1泊という)。しかし我々の先は長い。赤岩岳も微妙に巻く。アップダウンがきついんだよなぁ。ずっと同じ高さで歩き続ければ良いのに。大天井では小さな女の子を連れた親子がいて先にスタ−ト。すぐ追いつくと思えばしかしこれが抜けない。姿形が無い。しばらく歩いてたら休憩中。そこを抜いたら「速い!」と言われて思わず「速く無いっすよ−」と答えたのが本音。
 泣く思いで西岳到着。ここで11:30。相棒は出発12:30とか甘っちょろいこと言っている。12:15には出発だぜい! 昼食は買ってきたランチパック! しかし実のところそれほど食欲が無い(まだ完全に復調して無くって・・・これって中高年が遭難する一番のパタ−ンじゃない!?)。

 ここから実は槍ヶ岳が見えるのだが、そこに稜線は無く、深い谷。そして激しい登り返し。ここから数百メ−トル降りて、高尾山1個分登るのかぁ。双眼鏡で覗くと上の槍ヶ岳山荘も、山の上の人まで見えるが、この疲弊した最後にこの地獄が待っているかと思うと心が折れる
 そうしていると先ほどの人懐っこい親父さんが、色々アドバイスしてくれる。彼らは今日ここに泊まり、明日槍ヶ岳山荘泊。それでもこの小さな女の子にはきついだろう。よく泣かないものだ。「最後はアドレナリンが出て登り切れるって」・・・そうかなぁ。
 12:20リ・スタ−ト。もう山の上は雲が出ていつ雨や雷が鳴ってもおかしくない。逃げ場は無い。下りはこれでもかっ!ってくらい降りる。鉄梯子も多数。こんなにおりたらまた登らなくちゃならないよ。1時間高さを勿体なく思いながら降りれば水俣乗越。ここを下れば2時間で槍沢ロッジ。友人は「槍ヶ岳登らなくてもいいや」とか、息が上がって小休憩していると「ここで泊まっていく」と言い出す始末。そこを励ましながら、昨晩晩飯も食べていないのに登る登る。あと少し・・・でも一息入れる? と訊けば「きっとこの坂の上がヒュッテだよ」「まぢ?」そして登れば・・・夢にまで見た今日の宿舎だよ。夕飯にワインだってでるんだよ!

 外で、きついCW-Xと登山靴を脱ぎ、汗拭きシ−トで全身を清める。あぁ−、こんなにきつかったから乾杯しちゃう? この日のために1週間以上禁酒してたので、すぐに酔いが回る回る。やばっ、昨日と同じ目が回ってきた。90分後夕食。折角の名物ワイン、全然飲めません。おかず半分残し。さらにパスタが食べられるのだが、数本頂くだけ。あぁ−何やっているんだろう・・・
 ところで、槍ヶ岳って近づいてみると、すっげぇデカい! てっぺんは8畳間ほどの小ささって聞いているし、今まで遠くから見てるだけなので、チッコイと思っていたが、そばに行くと「未知との遭遇」でUFOが降りてくる、あの何とかって言う国立公園の山くらいにデカかった。あぁあと「小槍」も反対側・横・上から眺められて良かったよ。クライマーは登頂禁止なのかな。あそこで アルペン踊りを踊ってyoutubeあげたら話題間違いないとは思うのだけれど(きっと崩落の可能性あるんだろうなぁ)