*『プリズム』

 百田尚樹のネーミングだけで購入。この話には家庭教師先の豪邸に見事な庭園がある。冒頭は初春。まだ桜の蕾も固い時期。それが多重人格者との接触・感情移入・恋愛感情と移行するにつれ、季節は桜・薔薇・梅雨紫陽花、そして初秋コスモスと移ろっていく。きっと映像化したら美しいだろうな、と思いながら読む。
 あのおっさん(百田尚樹)が女視点の一人称で描いていくのだが、あっさり恋に落ちたり、自分から舌を入れたり、新宿のホテルでやったりと、男からすればこれはお手軽な女性に描かれているのは、どうなんでしょうね!?
正直百田尚樹じゃなかったら違う印象(特に日本での多重人格者は珍しいので)だったかもしれない。彼のことを全く知らない人が恋愛小説と捉えて読むと面白いんじゃないかな、特にお年頃のティーンには。

プリズム (幻冬舎文庫)

プリズム (幻冬舎文庫)