*ようやく日本も・・・「永遠の0」

永遠の0


百田尚樹が書いた「永遠の0」、戦争やゼロ戦についてはほとんど知っていることばかりだったけれど、ストーリーがとても良く泣ける小説だった。その映画化。 『ALWAYS』シリーズの山崎貴監督なので、CGに関しては危惧していなかった。主役に岡田准一。発表時にはちょっとイメージに合わないかとも思ったが、番宣の零戦に乗っている凜々しさは、良い配役だと思い、寧ろ楽しみでした。一方、現代に生きる孫役の三浦春馬、彼が一番心配だった。これだけは無いなぁと不安だったが、見終わってみればずいぶん頑張っていましたよね。井上真央夏八木勲らも当然の存在感。唯一、主人公宮部の娘役、風吹ジュンが涙もこぼさず延々と泣いていたのはダメだったなぁ。
CGは確かに良く出来ているが真珠湾攻撃の戦艦沈没のシーンなどは、(金をふんだんにかけた)「パールハーバー」の方がリアル感があった。飛行機を編隊で飛ばしているシーンなどは、CGで作っているのかリアリティがなかった。もっと風防の風切り音など微妙に入っていたら思しかったかな。そして最後のカミカゼ攻撃、抱いているのが魚雷に見えるが、あれは250kg爆弾?
 肝心の物語は、ようやく日本も、太平洋戦争に関して良質な・そして思いっきり泣ける映画が作れるようになったと、嬉しくなったよ。というのも今までの戦争物は金がないせいもあるが、どれもちゃっちく、戦史のごくごく一部を切り取ってたようなものばかりだった。「ひめゆりの塔」も「きけ、わだつみの声 Last Friends」も戦後50周年には残念な出来だったし、「男たちのYAMATO」も、男を美化するだけの映画だった。
 「死なないで生きて帰る」・・・この一言を言うのに、日本では60年以上かかったね(アメリカでは戦争当時から言っていたろうに)。まぁ映画と言うより原作の良さが一番なんだろうけど。小説では、複雑な話が週末に収斂して感動を呼ぶが、映画でもずいぶん頑張ってその辺を表現できていたと思う。
 戦争映画が好きなmetooにとって、近年見た中でピカイチの良作だった。中高年のカップルが多かった館内だったが、岡田准一目当ての女性連れも、もちろん若いカップルもあまたいた。若い人にはもっともっと観て欲しいな。お薦めです。

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)