*『フォルトゥナの瞳』(百田尚樹著)

 デビュー作『永遠の0』があまりにも衝撃的だった。そしてその後の彼の言動からは想像できない、今回はSFラブストーリー。たまーの電車通勤用に読み始めたが、面白いので結局日曜の休みを利用して読み切ってしまった。
 なかなかのストーリーテラーなので、展開は(SFものにありがちな展開はあるっちゃあるけど)面白い。ただし、クドイ。主人公は小さい頃に妹を含む3人家族を火事で亡くし、その後の養護施設で苛められた経験を持つ、気の良い青年。そいつがあまりに良い人設定(まぁ小説の主人公は大抵そうだが)。そしてウジウジしている。・・・あのなあ、そういう暗い過去があっても、リビドーっちゅうもんがあるだろう。女が言い寄ってきている状況で、もう少しいくら何でもガツガツしていても良いんじゃ無いか。
 ・・・ところで本作が秀逸だなぁ、と感心してしまうのは、エピローグの部分だ。(なるほどなぁ、そうきたか。さすがだな)にやりとさせられる。いい感じの作品だ。

フォルトゥナの瞳 (新潮文庫)

フォルトゥナの瞳 (新潮文庫)