最近大手新聞2社のコラムで、ほっこりするものを2つ見つけた。おそらく新聞に載っていなくて、雑誌などに掲載されていたなら一生出会わなかっただろう。そんな記事だ。
一本は女性映画監督が自分の小さい時の思い出を寄せたもの。それは愛想の無いオバハンがやっていた駄菓子屋の話だ。普通にトイレ貸してもらったり、1回だけだけど一緒にご飯を呼ばれたり、小学卒業の時に、絶対当たることの無いデカイメンコがはいったくじで、当たってもいないのにそのメンコをくれたこと。それから数年後転倒が元で死んだけど葬式にも行かなかったこと・・・それらはすっごく些細に書いてあるけど、涙を誘うような記事だった。誰もが似たような少年少女期のその手の思い出があるものだ。当の本人も忘れてしまっているかもしれない。
もう一つは作家の星野博美(初めて知った)のだ。1998年の香港、独り身で迎えた旧正月、屋台で蒸し鶏をオヤジが売っているところに出くわした話だ。「姉さん、買ってよ。半分でいいから」。断ると「大晦日だろ? 家族と一緒に食べればいいじゃないか」と続ける。そこで「本当に一人、正月も一人。たから食べきれないの」。
そこからの話がいい。腕の良い作家が作った話なんじゃ無いか? とさえ思う。オヤジの最後の言葉もいい。「良い年をな」
今私の住む街でこれらのコラムが何人の目に止まって、記憶にイニシャライズされのだろう。私が知らないこの作家の作品を載せてみる。
- 作者: 星野博美
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2017/07/06
- メディア: 単行本
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