初級者と行く焼岳日帰りツアー

  焼岳は景勝地上高地に行くと、最初に大正池が見え、その左手前にドカンと(周囲の高山とは趣を異にしたハゲ山で)鎮座した、活火山である。

以前泊まった、上高地温泉ホテルでは、夜夕食後に上高地周辺の北アルプス(後ろ立山連峰)や自然についてレクチャーしてくれた。上高地内唯一の温泉でもあるし、結構魅力あるホテルなのだ。そこで館主は「焼岳なら初級者でも簡単に登れますよ。何なら私が案内します」と言っていた(のを私は忘れずにいた)。

 3連休中日なら天候も悪くなく、沢渡からタクシーに乗り換え、中ノ湯温泉登山口まで行き(約5000円)、8時から登り約3時間。昼食で20分。遅くても12時には山頂を発ち、上高地側に下山。最大4時間で帝国ホテルでケーキセット、または河童橋で今更ながらの記念写真にするか。5時にターミナルを出て沢渡駐車場5時半着、温泉入って遅くても6時半出発、どお?

 日帰りの割りに楽ちんじゃ無い? 完璧!! 登山口の写真も青空で綺麗。

 半分登ったときに降りてきた人に聞けば、「穂高から独標。ジャンダルムも全部見えてこんなこと今まで無かったよ!」とアゲアゲなことを言う。同行のもそれを聞いて、「やる気が出てきた!」と前向きなことを言っていた。ここまではほぼ完璧、コースタイムが一割遅いがまぁこんな感じ。

 

南峰・北峰が見えるところから、日なたを九十九折りに登って行く。同行は暑くてバテているものだから「曇れ、曇れ!」と言っているが、雲一つ無い景色は、どうしたんだい? 

新中ノ湯温泉登山口入り口

ここから山頂が見える



ジャンダルム見たいのにナァ。この直前から同行は足が動かなくなってきていた。「ここで待っていれば、すぐ行って帰ってくるから食事している?」と尋ねたが「折角ここまで来たのだから」とすごく遅くなりながら山頂直下の稜線に辿り着いたのが12時。一休みして山頂アタック1時。1時間遅れ。(ほぼ360度雲。でもたまに風が吹き飛ばし北峰の形を見せてくれる)

池も一瞬見えた!



 
 そこから、ああそこからピストンで戻れば問題など無かったのに、上高地側に降りてしまった。同行は言う。焼岳小屋まで30分。そこでお水を買ってご飯にしよう(じつはまだ食べていない。そしてPETボトルが不足してきてお茶を半分分けてあげた)。1時15分に山頂を出発。

山頂は結構広い!



 しかし、しかしだ。そこは滑りやすく足の筋肉がへたっていた同行は滑って地面に肩を打ってしまった! 擦り傷も多数。ここから今までの半分のペースになる。

 焼岳小屋着2時45分。やばい早く出ないと、釜トンネル7時閉門に間に合わず、上高地に取り残されてしまう。しかし同行は強い。ゆっくり支度をしてトイレに行き、「トンネルは夜も開いているよ」(ホント?) 3時15分出発するが、ここまでに右太ももを攣リ、直している最中に左太ももも攣っている。

 ここから初心者にはまさかのハシゴ場・鎖場登場。同時刻出発した家族連れパーティにも置いていかれ、鎖場では同行ずり落ちてしまうし、予定通り何度も足をつる・・・自分の最後のドリンクも同行が全部飲み干した。まだまだ山中ながら時刻は5時半。この日日没6時、6時10分には暗くなる。先を急ぎたくても急げば足攣るし、転倒する。こんなに遅くなるとも思わず、ライトも持たず。どうなる? 人生最大のピーンチ!

 結局山中で日没。上高地登山口まで薄暗いなか手探りで着いたのが6:15。さあここから帝国ホテルまで徒歩20分。タクシー来てくれれば何とかトンネル通過。急いでアルピコに電話し、記憶からおそらくコッチだと暗闇を帝国ホテルに急ぎ足。なんとかタクシーと連絡が付き、6:45乗車できた! これで帰京可能に。(この日上高地内に多くの観光客が取り残され、まだバスが走っているのを見かけたので、帝国ホテルバス停から乗れたかどうかは不明だが、釜トンネル閉門には、まだ30分くらい先のようだった)

 TVでよく聞く、捜索隊による登山客捜索のニュースが頭をよぎったり、自分だけ帝国ホテルまで走って、救助隊を迎えに行くシーンも頭をよぎった。

 この日沢渡までの国道が大渋滞、かつ中央道も複数の事故渋滞で東京都境の小仏トンネル越えるときには翌日になっていた。運転中眠くて仕方なく、レッドブルを飲んで運転していたところ、帰宅してから疲れているのにほとんど眠れず。

 秋には「ヘッドライト」、リュックには「テーピング」が、必需品だと思った。