「カティンの森」くらい成人は知っている者と思っているがどうなんだろう。去年はポーランド大統領が、ロシアで初めて行われる「追悼式」出席途上の飛行機着陸事故で死亡という悲しい事件があった。ちなみにゴルゴ13でもこの「カティンの森」についていの記述がある。大人になるってのは、動物的成長(黙っていても年齢はとって大人になる)だけでなく、教養や知性も身につけていくってことだ。「知らない」と言って威張るな、若者!
この「カティンの森」は、第2次大戦下、ソ連の捕虜となった1万人越のポーランド人将校がカティンで虐殺された事件のこと。当初からドイツは「ソ連の仕業」と非難していたが、特に戦後はユダヤ人虐殺も相まって全てドイツの仕業にされちゃったんだよな。いわゆる「勝てば官軍」の良い例だ。将校が皆殺しにあえば、その後の軍の再建はままならず、もともと弱かった東欧諸国がソ連の衛星国になったのは既知の事実。
ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の父親もその被害者の1人らしい。「ヘタレア」で「ポーランド」がクローズアップされるのは「ポーランド」無知な日本人には良いこと。この国はソ連とドイツ両国挟まれてるって時点で悲劇的な位置だよな。「ポーランド回廊」なる言葉さえあるくらいだ。
この映画は、何人かの主人公になる女性がでてくる。主人公アンナは主人の将校大佐の帰りを義母と待つ。大将夫人はルジャ、ソ連の犯行を兄の墓に刻んだために秘密警察に咎められるも、きっぱり拒否するアグニェシュカ。とにかく全てドキュメントのような作りが心に痛い。射殺のシーンは「戦争は人の心をダメにする」ことが良く描かれている。ファシズムもダメだが、共産主義もクソだな。右には嫌悪感、左は...なんだいつもいつも権力闘争ばかり繰り返すかな。
エンドクレジットで音楽が流れない映画....今まであったかな....? 大人なら必見です。
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