*「夜の記憶」T・H・クック著

夜の記憶 (文春文庫)

夜の記憶 (文春文庫)

 この人の作品を読むのは3作目。「ミステリー小説」と言う点では今までの2作よりも、
「舞台設定」「魅力的な登場人物」「主人公の背景」「犯人捜し」「謎の解明」など一通り備えていて、しかも魅力的(すごく悲惨で救いようも無いのだが)で、最初から読書に引き込まれる。
 いったい被害者で、誰からも愛されるティーンのフェイを殺したのは誰なのか? 推理小説を書くポールの卓越した想像力が、50年前の事件に関わる関係者達に事件の関与の可能性を描き出していく。そして突然、真相はものすごく桁外れな方向に辿り着く・・・・この意外性。
そしてこの作者はよくもまぁ、人間の暗い部分を描けるものだと感心する。よくできた1冊、お薦めする。